『五木寛之』講演会

先日、五木寛之さんの講演を聞く機会が有りました。
文字は世相を反映しているという話しから始まりました。
改訂常用漢字に採用される漢字は、その時代に必要だから新たに採用されるという話しです。
昨年の改訂常用漢字表を見ると、暗い、後ろ向きの漢字が多い事に気付くとの指摘がありました。
生きづらい世の中を反映して、そのような漢字が蔓延していることの証との指摘です。
反対に、世の中のいろいろな情報媒体では、“前向きな生き方、考え方”だけを奨励するような言われ方が多いが、果たしてそれが正しいのか?との五木さんの問いかけです。
前向きだけが人間にとって必要なのではなく、悩み苦しむ事、悲しむ事も必要なのではないかとの考え方です。
柳田邦男の著書で「涕泣史談」(ていきゅうしだん)という話しを引き合いに出されました。
泣かなくなった現代の日本人の話しで、果たしてそれで良いのか…?『泣くべきところで泣く』という人間性…
心の中の悲しみを外に出すためにも、上辺の物でない本当の「笑い」と「悲しみ」を感じる心が大切だと締めくくられました。
自分自身の事を考えると前向きに前向きにと言い聞かせている事が多く、また心からの笑いや悲しみも確かに少なくなっている感じがします。
なかなか考えさせられる話でした。(S.H)

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