設計という仕事を通じて…1

先日、ある住宅の建て主さんとの打合せの中で感じたことがあります。
以前にも書きましたが、普段設計を進める上で、最も大切な事は、建て主さんとの信頼関係と価値観の共有だと感じています。
まだまだ、一般には設計という仕事は馴染みが薄く特殊な領域に位置づけられている感があります。
そのため、さまざまな方法で我々の考えている事をできるだけ分りやすく伝えられるようにと思ってやっています。

特に住宅の場合、その住宅に求めるものは、千差万別です。
求めるものは千差万別でも、住宅として外してはいけない点は『生活の場であるというあたりまえの視点』です。
どんな“洗練”された“かっこいい”空間でも、その視点が外れていると住宅としては、居心地の悪いものになってしまいます。

長い事、設計の仕事に携わっていますが、お客様のふとした一言で“はっ”と我に帰る事があります。
先日も、打合せの中での一言に気付かされた瞬間がありました。

自分の中の思い込みが、周りを見えなくしている事があります。
自分たちの常識が他の人たちからは常識でない事があります。
だからと言って、物を作る人間としてまったく何の『思い』も無いのっぺりした人間から“魅力的なもの”が生まれるとも思えません。
自分の価値感の押し付けにならない絶妙な一点を探し求めて、目標のぶれない創作活動をして行きたいと思います。(S.H)

Leave a Reply